2008年04月27日

中国法務の現状と仲裁手続き

1. 弁護士を対象として、中国法務の現状についてのレクチャーが4月23日に弁護士会で開催されたので出席しました。中国法務の最先端で活躍する3名の弁護士が、自らの経験をもとにお話された内容は、我々実務家にとって、大変参考になるものでした。

2. 特に、中国企業との契約においては、CIETAC(中国国際経済貿易仲裁委員会)の仲裁条項を規定しておくことが重要であることは再認識させられましたし、日本の裁判所で勝訴判決を取得しても、それが中国では執行できないらしいことは、自分も注意しなければならないと認識しました。中国法関連の業務では、私も数年前に、中国の会社を第三債務者とする債権について譲渡担保権を設定したことがあったのですが、そのときも中国法弁護士のアドバイスを得て、日本法と中国法と両方の対抗要件を満たすようにしたことがありました。中国法に限りませんが、日本法以外の外国法が関連するときは、日本法的な考え方が通じない場合もあるので慎重な対応が必要だと感じています。

3. ところで、「喧嘩の仲裁」という言葉の印象からか、「仲裁手続き」というと、話し合いや調停のような手続きを想像する方も多いかもしれませんが、私が経験した日本商事仲裁協会(JCAA)やパリに本部を置く国際商業会議所(ICC)の仲裁手続きは、実質的には裁判所の訴訟手続きと同様の手続きです。仲裁の申立人が原告と同じく請求原因事実を主張立証し、被申立人が被告と同じくこれを争うことになります。

4. 仲裁手続きは、未だ多くの企業にとってなじみの薄い手続きと思われます。しかし、@判断を下す仲裁人を当事者が選択できること、A公開手続きを前提とする裁判所と異なり非公開であること、B仲裁判断という判決と同様に強制執行できる判断が得られること、C基本的に上級審による判断がなく、仲裁判断一審のみで終了すること、などの特徴が生かされていけば、裁判所以外の有力な紛争解決方法として、企業間の紛争で多々利用されていくものと思われます。
posted by 中村千之 at 22:04| Comment(0) | TrackBack(0) | その他